何処の会社でも営業に配属された人が、最初にぶつかるハードルが「営業電話」だと思います。
そして、お客さんとの「営業電話のコツ」「営業電話のかけ方」に、悩んでいる人が多いと思います。
40年前の筆者もそうでした。
つまり、この問題は、昔から変わらずにあるということです。営業電話のコツを覚えることは、飛び込み営業のコツを覚えることでもあります。
突然、予定していない相手からかかってきた営業電話は、飛び込み営業と同じだからです。
今の時代、インターネットによって、時代は変わったはずなのに、未だに、電話営業のコツ・営業電話のかけ方は、営業マンの悩みの一つで、あり続けています。
当記事では、その電話営業のコツ・かけ方について、筆者の経験から解説します。
飛び込み営業電話のコツ|かけ方・話し方教えます!
営業電話の具体的なコツ・方法の前に、まず現状確認です。
営業電話がうまくいかない理由等について、現状確認をしておかないと、営業電話のコツやかけ方や話し方について理解しにくいからです。
そのポイントが分かってからの方が、営業電話のコツやかけ方、話し方について理解しやすくなります。考えようによっては、あなたの「営業電話のコツ・改善方法」は比較的簡単かもしれません。
飛び込み型の営業電話はしにくい時代
営業電話が苦手な人、うまくいかない人の原因の一つには、電話をかけまくり、断り続けられることに、心が痛むと思うことにあるのではないでしょうか。
インターネットのない時代には、新聞テレビの他の情報源は、ほとんどなかったわけです。
ですから、営業電話でセールストークで押しまくる、相手に電話を切らせない、押し売り営業の方法でもうまくいった時代もあるのです。
ところが、今のインターネットの時代では、顧客は、知りたい事はネットで調べられる時代です。
また、商品について、営業電話に関しても、いろいろな情報を、顧客は既に知っている可能性が高いです。
ですから、営業電話は、かけた相手が営業電話だと知った瞬間に、断られたり、ガチャ切りされたりすることになることが多くなったのです。
そうでなくても、営業電話の成功率は、「千三(せんみつ)」と言われる世界です。
つまり、1000分の3ですから、0.3%の世界です。
効率を考えれば、非常に悪い方法なのです。
飛び込みの営業電話のコツ|断られるのが普通だと気づくこと
営業電話が苦手な人、うまくいかない人は、相手から断られたり、することで心が痛んでいくのだと思います。
人間の心の基本的な資質の中には、相手に対して断ることも断られることも、ストレスとして残るようになっています。
営業電話では、それを続けるわけですから、ストレスが溜まり、営業電話が苦手になり、うまくいかないと感じるようになるのだと思います。
それでも、営業電話が無くならないのは、営業電話をすることが顧客と話す練習の場となることと、新聞チラシよりも「まし」と考える昔ながらの考えを大事にする人が、会社の上層部や管理職にいるからでしょう。
特に、営業電話が多い、不動産や住宅では、電話の千三に対して、チラシは「万部一」といいます。つまり、1万部のチラシを折り込んで、一人来場するという目安です。
おかしな話に聞こえるかもしれませんが、営業電話をかけた顧客に良い回答結果を期待せずに、電話をかけることが、実は営業電話のコツなのです。
営業電話がしつこいと思われる理由
電話先の顧客が、ガチャ切りしたり、「しつこい」と言って怒ることがあると思います。
なぜだか考えたことはありますか?
それは、電話先の顧客に、過去の営業電話のトラウマがある場合が考えられます。
軽い気持ちで、応対したら、相手がどんどん入り込んできて、求めてない情報を喋りまくられた嫌な経験がある場合が、想像されます。
また、電話の相手先の顧客の中には、言葉では断っているのに、電話を切れないタイプの人がいます。こういうタイプの顧客も、営業電話がトラウマになっている可能性があります。
しかも、営業電話のよくあるマニュアルには、「かけた電話は、自分から切らないこと」と書かれています。電話をかけた方は、「NO」は分かったが、自分から切らないマニュアルに従い、電話を受けた方は、「NO」とは、言ってるが、自分から先に電話を切れないタイプの人、不幸な組み合わせです。不毛な時間が過ぎて、ストレスが増大します。
もう一つ、しつこいと思われる参考例があります。営業電話が結論取りに偏った目的でなされる場合です。毎回同じような内容の話で、「買いませんか」と迫るだけの内容の電話です。
営業マンは、過去に資料請求等の関係性のあった顧客のリストに対して、結論取りの営業電話をします。問題なのは、そろそろ買いませんとか、売り込みをすることです。
売り込みしかしないから断られるのです。
そして、ここが問題なのですが、多くの営業マンは、この通話の対応について、記録をしません。
すると、「自分は新しい担当」と称する人から、断っても、断っても、次々と営業電話がかかってきます。その結果、ガチャ切りや「しつこい」という罵声を浴びることになります。
ただ人の状況は変化するものであり、以前は時期尚早で「ノー」だった顧客が状況が変化して「イエス」になることもあります。ですから、このケースの場合、状況の変化を探りながら、営業目的ではない売り込みをしない営業電話をするのが、正しいのです。
初めての出会いの時、それが飛び込み営業であろうと、飛び込みが他の営業電話であろうと、目的は、売り込みではなく、関係性の構築です。売り込みをせずに、関係性の構築だけの目的で、電話をかけると、前述の「しつこい」という声はなくなります。
数年前にオープンして話題になった「メルセデスミー」というメルセデスベンツのショールームがあります。ベンツを見るだけ、そして試乗するだけのショールームです。その結果、メルセデスベンツが、売り上げを伸ばしたのは、有名な話です。売り込みをされないとわかっているので、顧客は安心して、メルセデスミーへ出かけるのです。
売り込みをしない営業電話で、顧客と良い関係性が構築できると、顧客側からジャストなタイミングで、声をかけてくれるようになります。そのわ割合は、決して少なくありません。以下に参考例を紹介します。
営業電話のコツ・掘り起こし営業(過去客へのアプローチ)
以前、〇〇(商品名やサービス名)でお問合せを頂いたことのある□□様ですね。
私、この度新しく担当になりました△△と申します。
ご挨拶でお電話をさせて頂きました。
実は私まだ新米でして(中高年なら以前違う業種にいたことをいう)・・・
今は、こうしてお客様とお話しさせて頂きながら勉強中させて頂いてます(頂くが続くのは本当は良くないのだが)。
多分、□□様の方が、〇〇についても詳しいと思います。
色々と教えて頂きたく思います。」
(この後は、お客さんの言葉に、こまめに反応する「合いの手トーク」を入れるのです。)
電話営業のコツは聞いていますよ、という反応を具体的に言葉に示す
電話営業の場面での話し方のコツは、合いの手トークです。
顧客の言葉の合間に、短い言葉を入れて反応してみせる事です。人間は、自分の話に反応してくれる人が大好きです。
はい
いいですね
そうなんですね
すごいですね
知りませんでした
驚きました
(相手の言葉をそのまま真似るのもOK)
普段の自分か他人の会話を観察しているとよく分かります。
顧客は、他社の電話営業のように、「買って下さい」といわない相手なので、ついついお話をしてくれる可能性があります。(顧客の自己防衛ハードルが下がります)
ここが営業電話で重要な話し方のスキルを高めるコツです。
そのあとも、自動的に話し続けてくれるはずです。
電話営業のコツは、通話内容は必ずメモする。次回それを見ながら通話する
通話で知った内容は必ずメモして、次回の電話に役立てる。
最も良い形は、顧客が自動的にしゃべり出し、こちらは合いの手トーク「なるほど・そうなんですね・わかります・など」だけという展開です。
電話営業で、大事な話し方のコツは、「人間関係を築くこと」「絶対に成果を期待しないこと」に集中することです。
営業電話のコツは、売りたいなら自分から売り込みをしないこと|飛び込み営業も同じ
つまり、売り込みをしない話し方をするのがコツです。
飛び込み営業も全く同じなのですが、断られようと思うなら、どんどん売り込みをすれば、予定通り、断られます。
本心は、断られたくないわけですから、売り込みをしないことが大事なコツなのです。
関係性構築を最優先にすることです。
電話がなったら知らない人から…これが営業電話・相手にとっては飛び込み営業と同じ
突然の電話は、飛び込み営業と同じです。
いきなり、やってきて、商品説明され、勝買ってください手kだたら、誰でも嫌がります。
心の準備もないのですから。
電話営業の基本は挨拶+雑談(商品に関係性がある)|それがコツ
顧客にたくさんしゃべってもらい、「話しやすいいい人」という良いポジションをとり、共有できる話題を探ること、です。
営業電話の話し方で、神経を使うところです。
それがコツです。
飛び込み営業=突然の電話を待ってる人はいない=商品説明は最悪のトーク
商品説明はしなくても大丈夫です。
最後に、「お話ができて良かったです。楽しかったです。
また電話して良いですか?」
という話し方で良いです。
そして、次回2~3週間以内に、もう一度電話することがものすごく重要です。
この時に前回の会話メモが活きます。
ですから、必ずメモ取りながら、通話して下さい。
通話メモを活かして、その続きを話すことです。
商品に関する事や、決断をすすめる営業の話し方スキルは、自分の方から商品や決断を迫る話し方をしかけないことです。
聞かれたら、答えるという話し方のコツです。
電話営業のコツ|フォロー電話の話し方こそが営業の肝
2~3回目のフォローの電話が、肝心です。
電話営業を成功させるかは2回目以降の電話をかけるのかで決まる
これをしない人が多いので、
電話営業から、成果が出にくいのです。
前回の突然電話とは、話し方は全く違います。
好感度を感じてもらえているかは、分かりません。
しかし、少なくとも、初回の飛び込み電話とは、全く印象が違うはずです。
飛び込み営業と同じ突然の電話営業でアポが取れる方が珍しいのだと早く気づけ!
この電話営業がきっかけで、後日も含めてアポが取れるかどうかは、経験的にはは10〜20%の確率です。
電話営業は、この小さい確率の積み重ねが重要です。
すぐに商品が売れるとか、アポイントが取れるとか、欲張るからうまくいかないのです。
電話営業でアポが取れるのはラッキーなのですから、最初から2の次と考えておく
そして電話営業で、「アポ取ること」「買ってもらうこと」は、2の次と考えることです。
商品・サービスの話は、相手が触れてきたときにだけ伝えるという話し方にして下さい。
本当にこんなことで、上手くいくの?と思われているかもしれません。
大丈夫です。
電話営業をつらいと感じる理由
電話営業がつらい理由は、目的によります。
アポ取りや結論取り目的で、電話営業をすると、あまりの確率の悪さに加えて、ストレスが溜まった顧客から罵声を浴びることで、電話営業をつらいという状況になっていきます。
電話営業の目的を再認識する
電話営業の目的を、アポ取りを結論取りから、顧客との関係性構築のために変更することです。
もちろん、潜在的にはアポ取り結論取りの気持ちを持って電話するわけです。
しかし、営業目的が表面に現れた途端に顧客は否定的になります。
考えてみてください。
インターネットが一般的になり、誰でも携帯電話を持っている時代です。
以前は、家の電話は、固定電話でした。
現在は家の電話は他の人も増えています。
そんな状況の中、営業電話は相手の状況を考えずにつながる時代になりました。
自分の身に置き換えてみるとわかると思いますが、どんな状況にあっても電話がそばにあると自分を呼び出します。
なのに、何事かと思い電話をとると、営業目的で商品やサービスを進める電話であったら、あなたはどう感じますか。
それはまるで、玄関ドアを無断で開けて入ってくる飛び込み営業と同じになってしまいます。
ですから、今の時代の電話営業では目的を顧客との関係性構築のために限定して、電話をかけるべきなんです。
その後何回かの通話の後に、関係性も構築されてきつつ、アポの日程が決まったり、商品やサービスの良さを受け入れてくれる時が来るかもしれません。
電話営業では、将来にそういう関係性を持てる下地作りという意味合いで関係性を構築するのです。
電話営業と飛び込み営業|会社がやらせる理由
会社が新米営業に「電話営業と飛び込み」をやらせるのは、成果を出すためではなく、話し方のスキル=コミュニケーション能力を高めるために行っています。
ですから、キャリアになってしまったベテラン営業が、スランプに陥ったりしたときに、自分自身を調整したりリフレッシュするために行う場合もあるのです。
すぐに成果を期待するならば、千三(せんみつ)の世界なのですから、営業の成果の可能性としてはさらに小さくなります。
そんな効果のない方法を会社が社員にやらせる理由は、トレーニングしかありません。
今現在、毎日の電話営業と飛び込みで、悩んでいる真っ最中の人には、分かりにくいかもしれません。
会社だって、効率が最も低い手法に、貴重な人材を投下することは、本当はやりたくないことです。
それは、営業としての基礎能力(話し方スキル=コミュニケーション能力アップ)を身に付けるためです。
野球選手だって、毎日何キロも走りますね。それと同じです。
人と会ってコミュニケーションを取るという、基礎能力(話し方スキル)を身に付けてもらうために、やってもらうのです。
電話営業・飛び込み営業でアプローチ方法や話し方を変えれば、売れるのだと思っている誤解
アプローチや話し方を少し変えることで、電話や飛び込みでも売れる様になるのかもしれないというのは、誤解です。
今より良くする方法として、筆者の方法を実践し繰り返していけば、今よりはグッと良くなるはずです。
また、アポが取れたり、成約も出ることもあるでしょう。
しかし、アポや成約が、そう毎月は続きません。
売れるようになるとは、継続性と一定以上の成果があって、言えることです。
大事なことは、アプローチや話し方を変えて、工夫して、上手くいくことを少しずつ体験していくことです。
ずっと、電話と飛び込みを、やり続けることはないはずです。
その次の場面=営業としての本番の場面である、会社のビジネスモデルにより集客した顧客と、商談をする場面に成功していくために、これまでの基礎練習が役立つのです。
心配しなくて大丈夫です。
早く成果を出さなければという不安
筆者は40年営業の仕事をしてきました。
営業として入社したのだから、早く営業成績を上げたい、と思う。
当然のことです。
だから、早く成果を出したい。
成果を出せないことが不安でたまらない。
気持ちはよく分かります。
しかし、不安に思わなくて、大丈夫です。
今は、基礎能力付けるために、自己研鑽(自分みがき)している段階なのですから。
特に飛び込み活動は、コミュニケーション能力=営業の基礎能力(話し方スキル)を
磨いて高めるために行っているのですから。
話し方を工夫しコツをつかんで、言葉遣いを工夫し、色々な工夫をやってみることが大事です。
一時的には、どうしても、売れた・売れないと、喜んだり悲しんだり、してしまうとは思います。
本当に大事なのは、次の営業のステップで、電話と飛び込みでトレーニングした経験を、活かすことなんです。
それは、諦めずに、工夫すること、考えること、変えることを継続してきた経験です。
それを身に付けるために、最初は皆、飛び込みと電話営業をやるのです。
もしも、電話営業と飛び込み活動が、本当にその会社の主たる営業戦略なのであれば、その会社の未来はありません。
それは30年以上前の手法だからです。
筆者がが20代で経験していた営業手法です。
今は、顧客は自分の意志で、ネットで検索して比較して商品を買う時代です。
それしか、営業手法がない会社なのであれば、未来に存在しない可能性すらあります。
お客さんはみんな、商品の良さとか機能を理解して、購入しているという誤解
お客さんが全員、商品が良いから購入している、と考えるのは、誤解です。
お客さんが、意図を持って、ネットやリアル店舗に出向いていく場合、お客さんは、商品を比較して、商品の良さ・機能を、理解して購入しているでしょう。
確かに、増えてはいます。
しかし営業マンを通じて、購入する人もいます。
それは、「信頼できる営業がすすめてくれるから購入する」のです。
ですから、ネット通販がどれだけ増えたとしても、営業の存在価値があるのです。
営業の世界には、「お金も契約も結局は人が連れてくる」という言葉があります。
「人は人からモノを買う」という現象があるのです。
それは、信頼という関係性があるからです。
ここは、売買の原点なのでよく覚えておきましょう。
営業電話・飛び込み営業で売れるのだという誤解があります。
これも誤解です。
一時的に売れることはあっても、継続して成約を上げられていく方法ではありません。
この手法自体、成約率が低く、売れることもありますが、売れないことの方がはるかに多いのです。
前述したように、基礎練習として、営業の基礎能力を付けてもらうために、行うものです。
諦めない心と工夫する思考力をきたえ、コミュニケーション能力(話し方スキル)をみがくために、行うことです。
電話と飛び込みが、会社から見て、売上も見込めるし、コストもかからない良い方法であれば、多くの会社がそうするはずです。
しかし、現実は違いますよね。
ですから、今、電話営業と飛び込み営業を毎日行っている段階の人は、「基礎トレーニング」をしているのだと理解して下さい。
考え方・話し方の練習をしているのです。
営業実績は、この段階では、おまけのようなものです。
諦めない心と工夫する思考力をきたえ、コミュニケーション能力をみがいて下さい。
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